キャブレターオーバーホール
※作業中は可燃物を使用しますので火には十分注意して下さい。


 1    キャブレター取り外し
このキャブは、友人からオーバーホールを依頼された物なので取り外しの写真はありません、取り外し手順を簡単に説明すると
 
 
1 タンク・シート取り外し
 
2 アクセルワイヤー取り外し
 
3 残ガス抜き取り
 
4 エヤークリーナーを外す
 
5 キャブの引き抜き
 
 
と言った感じです、難しくは有りませんがノーマルのエヤクリーナーを使用されている方は取り外しが少し大変かもしれません、それでも現行車と比べると遙かに楽です。
 
キャブ内にある蓋のような物は、スロットルバルブではなくチョークバルブです、以前のキャブは、文字通りベンチリューを”Choke” したり、ティクラーでオーバーフローさせたりし、冷間始動していましたが、今ではその様なキャブは殆どありません (エンジンポンプや小型発電器には、今でも見ることが出来ます)。

 2    キャブレター清掃
このキャブが強烈に汚いので洗浄しました、2〜3日灯油に漬け置きすると楽に綺麗になるし、ネジが外し安くなり分解が楽です。
 
分解する前に強力な溶剤等は、余り使用しない方が無難だそうです。

 3    キャブレター分解
キャブレターを分解します、構造がさほど複雑ではないので、落ち着いて作業すれば難しくはありません。
 
一カ所だけ注意して欲しいのは、チョークバルブの取り付けネジを脱落防止の為カシメてあるので無理に外さず、カシメ部分をヤスリなどで削ってから外して下さい、最悪ネジ山が潰れチョークバルブが取り付けられなくなってしまいます。
 
また、組立の際このネジには必ずネジロックなどで緩み止めをして下さい、もし緩んで取れると、エンジンにネジが吸い込まれます。

 4    分解清掃
完全に分解したら、溶剤などを使用して洗浄します、塗料用の剥離材を使用している人もいるらしいです。
 
キャブレターボディーは亜鉛合金製の為、強酸性・強アルカリ性溶剤を使用されるのであれば、長時間の漬け置き洗いは気をつけて下さい、化学反応でボロボロになることもあります。

 5    水洗い ・ 磨き
溶剤洗浄が終わったら、水洗いし溶剤を洗い流して下さい、後は良く乾燥させ軟らかいワイヤーブラシでシコシコ磨きます。
 
サンドブラストすればアッという間にピカピカになりますが時間をかければブラシでもピカピカになります。
 
磨き終わったら防錆剤 (CRC・WD40など) を軽く降っておきます。

 6    パーツの点検
インナーパーツを全て交換するのであれば問題無いのですが、再利用するのでしたらキッチリ点検しましょう。
 
特にフロートレベルは入念に点検して下さい、まずフロートを平らな板 (定盤とまでは言わないですがそれなりの物で) の上に置き左右のフロートが揃っているか確認、それからフロートレベルの調整をしましょう。
 
まず「見かけのレベル」を調整します、キャブをひっくり返しフロートとフロートバルブが接触しているか確認、キャブボディーからフロート最上部までの距離をCBの場合21oに調整します、必ず4ヶ同じになるよう調整します。
 
「見かけのレベル」だけでも十分ですが、「実際のレベル」の確認もすると完璧です、CBの場合「実際のレベル」の確認には専用工具が必要になります
 
フロート室の下に透明チューブを取り付けキャブを水平な台などに固定、ガソリンを入れドレインを開けます、ガソリンが「実際のレベル」で止まりますので、4ヶのレベルが全て揃っているか確認します。
 
油面の調整がきちんと出来るか出来ないかで、かなり差が出ます、昔は、冷間始動の際、ティクラーでオーバーフローさせ始動していました、それぐらい、油面の差は混合気の濃度に影響が出ます、それを利用して、キャブのセッティングを換える達人がいるらしいのですが本当でしょうか、ご存知の方がいれば教えていただけないでしょうか。

 7    組立
分解と逆の手順で組み立てます、落ち着いて作業すれば難しい物ではありません、フロート室のオーリングが入りにくい時は、ボンドを薄く塗ってからオーリングを組むと楽に組めます。
 
フロート室の取り付けネジはあまり強く締め付けないで下さい、キャブボディーが亜鉛合金製の為、簡単にネジをなめてしまいます。
 
ネジをなめてしまったら少し長めのネジに交換してみて下さい、元のネジが短めの為もしかすると締め付けられるかもしれません。

 8    調整
組立終わったら調整をします、調整の方法は車種によって違いますので、マニュアルを見て下さい。
 
オーバーホールは、調整がメインの作業になります、バイク屋の中には、オーバーホールと言っても、バラして磨き、組み立てるだけ、といったバイク屋も少なくありません、綺麗に越した事はありませんが、汚くてもきちんと調整、確認されていれば、何も問題ありません、綺麗だけど、きちんと調整、確認されていない物よりはましです。
 
CBの場合、吐き出し口からスロットルバルブが揃っているか確認、揃っていないようで有ればアジャスティングスクリューで4ヶ同じになるよう調整。
 
次にアクセルを全開にし、スロットルバルブと吐き出し口上部が揃っているか確認、揃っていなければスロットルストップスクリューを回し調整。
 
全開全閉を数回繰り返し再度確認をします。
 
キャブを取り付ける前に一度ガソリンを入れ、漏れがないか確認します。

 9    キャブの取り付け
ここから先は写真がありませんが、簡単に説明しますと。
 
キャブをインシュレータに差し込み、強く押し込みます、アクセルワイヤーを取り付け、エヤークリーナーを取り付けます、ゴムホース等も元通りにします。
 
 
 
余談ですが、CB400Fには408tと398tの2種類ありますが (詳しくはF−1、F−2、F、の3種類) 排気量の違いだけでなく細かな部分も色々違います。
 
余り知られていませんが、実はキャブレターも少し違いがあります、写真の赤丸を良く見て下さい、408には穴が開いていますが、398は穴が開いていません
 
たぶん製造コスト削減の為だと思いますが、408、398の二本立ての時も、この違いがあったと聞いているので何故かは謎のままです、もし理由をご存じの方がいらっしゃればご一報下さい。
 
 
CBでレーシングキャブを使用されている方が結構います、レーシングキャブに交換していると、ノーマルの燃料コックだと燃料供給が追いつかないことがあります、このようなとき、燃料コックを交換するのも1つの方法ですが、私は燃料ポンプをつけるようにしています。
 
キャブの種類にもよりますが、交換すると負圧コックが使えなくなる場合もあります、ポンプだと電源が切れると燃料の供給が止まりますので、コックの代わりにもなります。
 
ポンプをつける場合、電源はエンジンが止まれば切れるようにしておいて下さい、もし転倒すると燃料が漏れだします、私が良くやった方法は、オイル警告灯にB接点リレー (電流が流れるとオフになるリレー)  をつなぎ、キーをオンにしたとき電流が流れるところから電電をとります、此だと、キーがオンのままでも、エンジンが止まればポンプは止まりますし、キーをオフにすればポンプは動きません。
 
ポンプはインジェクション車のポンプを使用しないで下さい、インジェクションポンプは燃圧が非常に高いので、必ずキャブ車のポンプを使用して下さい、それと、必ずフィルターを使用して下さい、燃料ポンプは、ゴミを噛むとすぐだめになります。

 10    同調調整
調整をきちんとしておけば、大きくずれている事は無いそうですが調整したのに大きくずれていれば、エンジンにトラブルがある場合があるそうなので気をつけて下さい、これも車種により方法が少し違いますので、マニュアルを参考にして下さい。
 
CBの場合、アイドリング調整ネジを調整し、スロットルレバーとステー間の間隔が56oになるよう調整。
 
バキュームゲージアダプターを取り付け、バキュームゲージを取り付けます、アジャスティングスクリューを回しバキュームが16〜24pHg内で4ヶ全て同じになるよう調整します。
 
アイドリング調整ネジを緩めていきエンジンが止まるか確認して下さい、エンジンが止まらないようであれば再度調整し直します。
 
アクセルの全開全閉を数回繰り返し、再度バキュームを測定、全て揃っていれば完成です。
 
バキューム調整に時間がかかるようであれば、扇風機などでエンジンを冷やしながら作業して下さい、ヒートさせてしまうと正確に調整できませんし、エンジンにも良くありません。

 11    最後に
キャブも色々な種類のものがありますが、どれも構造は余り変わりありません、ゆっくり作業すれば難しい物ではありませんが、力任せに外したり入れたりするのは止めて下さい、キャブレターは思っているよりヤワに出来ていますので簡単に壊れてしまいます。
 
特にフロートの取り付け取り外しの際、無理をすると簡単に壊れてしまいますので、外れにくければCRC等をかけしばらく置いてから外してみて下さい、それでもはずれにくければCRC等をもう一度かけヘヤードライヤーで暖めて下さい、こうすればたいていは軽く叩く程度で取れます。
 
暖める際バナーで焙ったりするとキャブボディーやフロートにダメージを与える事になるかもしれないので止めた方が無難だと思います。
 
最後に、火には十分気をつけて下さい、以前私の友人が、くわえたばこで灯油洗浄していた時、突然火柱があがったことがありました、ブラシ掛けすると細かいキリのようになって結構飛び散っているものです、その様な状態であれば簡単に火がつきます (爆発することもあるそうです) のでくわえたばこの作業は止めて下さい。







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