| 1 キャブの分解 | |
このキャブレターは、GSXーR1100のノーマルキャブです、これも知り合いからオーバーホールを依頼された物です、中古で手に入れた物なのですが、中古を買う場合、なるべくノンオーバーホールの物を選びましょう。
以外かもしれませんが、分解整備されている物は、ネジ山が潰れている等のトラブルを抱えている物が少なくありません、むやみに分解されたことにより、細かな部品の紛失も結構見かけられます、汚れは磨けば綺麗になりますが、欠品はどうにもなりません、古いキャブの場合、部品もかなり高価な場合が多く、欠品もかなりあります。
オーリングは、サイズさえわかれば資材店で注文できますが、CVキャブのダイヤフラムやフロートパッキンは必ず専用品が必要になります。
古いタイプのCVキャブはダイヤフラムが硬化して使えない場合が多いので、中古を買う場合は、まず部品があるか確かめてから買った方が無難でしょう。
ダイヤフラムが損傷、欠品しているようであれば、そのキャブはあきらめ他のを探すか、FCR等の社外品にするか、他車のキャブを流用するしかありません。
ゴム、樹脂パーツ以外のパーツは、よほどのことがない限り再利用は可能ですので、VMキャブなどのピストンバルブタイプであれば、さほど神経質になる必要はありません。
ただし、年式の古いキャブは、ボディーが亜鉛合金でできている為、雨ざらしにされていた物や、フロート内部に水が残っていた物などは、ボディー自体が腐食でぼろぼろの物も有ります、最近の物はアルミの含有量が多いので、著しく腐食している物は余り見かけなくなりました。
《 1 》
バキューム調整ネジの下にある、小さなスプリングを外す。
《 2 》
プランジャーリンクを外す、プランジャーリンクについている黒いプラスチック部品2ヶを、横にスライドさせ外し、リンクを前に引き出します、無理に引っ張ると曲がってしまうので無理しないで下さい。
《 3 》
ステーを外す、ステーのプラスネジを外すのですが、外しにくい時はインパクトドライバーを使い外して下さい、無理して外そうとすると、必ずと言っていいほどネジをつぶしてしまいます、ほかのネジも、硬いと思ったときはインパクトドライバーを使用して下さい。
《 4 》
トップキャップを外す、トップキャップを外すと、バキュームパイプが付いている下に、小さなオーリングがありますので無くさないで下さい。
《 5 》
サクションバルブ、サクションバルブスプリングを外す、サクションバルブを逆さにすると、ニードルが外れますので部品を無くさないで下さい。
《 6 》
フロート室を開け、フロート、ニードルバルブ、ジェット類を外す、ニードルジェットはメインジェットをマイナスドライバーで少しゆるめ、手で押し込むと上に少し上がってきますので引き抜いてください、この時、キャブレターコア (サクションバルブと接触するプラスチック部分) が一緒に上がって来ると思いますので、取り外し洗浄してください、キャブレターコアの下にはオーリングが入っていますので無くさないでください。
《 7 》
パイロットスクリューを外す、パイロットスクリューを外すと、小さなオーリングとワッシャが入っていますので無くさない様気を付けて下さい。
《 8 》
プランジャーを外す、プランジャーのプラスチック部分を引っ張りながら、裏側の爪を細いマイナスドライバーなどで外します、爪は2ヶ所有りますので、1つずつ外してください。
スロットルバルブは、よほどのことがない限り分解しない方が無難です、もし分解するのであれば、ネジのカシメを削ってから外して下さい、また、スロットルセンサーが付いている場合は分解しないで下さい、もし故障していればアッセンで交換になります。
割とあっけなくバラバラになります。
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| 2 洗浄 | |
分解した部品を洗浄します、このキャブは余り汚れていませんので、灯油とガソリンで洗浄し、溶剤は使用しませんでした、溶剤を使用する場合は、必ずキャブレターコアを外してください (キャブレター中央にあるプラスチック部分) この部品の下にはオーリングがありますので、溶剤でやられてしまいます。
灯油、ガソリンで洗浄する場合でも、ゴム、樹脂部品は別にしています、洗浄するのであれば、中性洗剤を使用し、自然乾燥させて下さい、特にダイヤフラムは傷つきやすいので、優しく扱って下さい、エヤーを吹くのも止めておいた方が無難です、どうしてもエヤーを吹くのであれば、レギュレターで減圧してから吹いて下さい、高圧のままエヤーガンを近づけエヤーを吹くと、破れることがあります。
走行距離にもよりますが、サクションバルブが、粉を吹いたようになっている場合がありますので綺麗にして下さい、これはサクションバルブとキャブボディーがこすれたとき発生する削れかすのような物です、さほど気にする必要は有りません。
スロットルバルブとその下に黒い筋が付いている場合がありますので、カーボンクリーナーなどで綺麗にして下さい、これはパイロットアウトレットからのカーボン跡です、このような場合、パイロットスクリューにもカーボンが付着しているかもしれませんので、スクリューも綺麗にして下さい。
最後に各穴をエヤーで吹き、貫通を確認して下さい、細い針金 (荷札に付いているぐらいの) で穴を掃除する場合もありますが、詰まっているとき以外はやらない方が良いようです、カーボンクリーナーを穴に吹きかけ、その後エヤーを良く通しておくだけで大体は綺麗になります、穴がつまっているかの確認は、CRCなどのスプレー潤滑剤を穴に通すとわかりやすいです。
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| 3 パーツの点検 | |
洗浄が終わったパーツを、良く乾燥させ、点検します、ニードルバルブに傷がないか、サクションバルブに大きな傷がないか、フロートに破損はないか、ダイヤフラムに傷みはないか、等慎重に点検して下さい、傷みがある場合は交換になりますが、フロートガスケットは、漏れがなければ再利用可能です、また、スズキはオーリング、ガスケットがセット販売ではありませんので、分解し痛んでいるオーリングだけ注文した方がお得です、ホンダはセット販売になりますので、一つでも痛んでいると、全てのオーリングを注文と言うことになります。
ダイヤフラムは手で広げ光にかざし、光が漏れていたり、薄くなっている場合交換して下さい。
このキャブは、フロートにジェットが付いていますが、長期間放置してあるキャブの場合、ここが詰まっていることがありますので良く確認して下さい。
プランジャーのスプリングやキャブの中に隠れている部分に錆が有るようであれば、プランジャーのシールゴムが痛んでいる場合があります、ここに水が入ると錆で動かなくなりチョークが働かなくなることがありますので、交換しておいた方が無難でしょう。
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| 4 組立 | |
分解と逆の要領で組み立てていきます、フロートバルブシート等のように、オーリングの付いている部品は、入りにくい事がありますので、オーリングに少しだけオイルなどを塗ってから組むと、楽に組み込めます、トップキャップの取り付け時、ダイヤフラムを噛み込ま無いよう注意して下さい。
油面の調整をします、フロートの線とキャブの下までを8oに合わせます、フロート室を外したままだとフロートがきっちり固定されていませんので、ニードルバルブの上を手で押さえ調整して下さい、フロート室を外し、キャブを逆さにします、逆さにしたままキャブを傾けていくと、フロートのディップとニードルバルブが接触します、その位置でキャブを固定し、フロートの線とキャブボディーまでを8oに合わせて下さい、フロートの線とキャブボディーの下が平行ぐらいがおよその目安です。
このキャブレターの場合、燃料分岐チーズに付いているゴムパッキンが、絶対と言っていいほどひび割れています、今までこのキャブは10個以上オーバーホールしましたが、全てのキャブがやられていました。
ニードルジェットは、左右の位置が決まっていますので注意してください、ニードルジェットの下に切れ込みが入っています、これはメインジェット取り付けの際、ニードルジェットの空回りを防ぐ為のものです、この切れ込みを回り止めキー (メインジェット取り付け位置の下に真鍮ピンが打ち込んである) 側に向け取り付けてください。
キャブレター内部にはグリスは使用しない方が無難です、内部の摩耗部分にグリスを塗ってもガソリンですぐ取れてしまいますし、小さい穴に詰まることもあります、新品のキャブを分解することは余りありませんが、摩耗部分にも一切グリスは使用されていません、摩耗の恐れが有る部分は、大抵メッキなどで対処がされています。
キャブレターステーのねじは、一度すべて借り止めし、定盤などの上 (無ければガラスの上など) に置き水平レベルを出してから締めてください。
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| 5 調整 | |
組立終わったら点検と調整をします、サクションバルブを手で動かし、スムーズに動くか確認して下さい、掃除機をつなぎスロットルを開閉させ、実際にサクションバルブを動かして確認する事もあります。
次に、スロットルバルブを全開にし、スロットルバルブが揃っているか確認します、揃っていなければ、まず、1番と2番の開度を揃えます、次に、3番と4番の開度を揃えます、1番と2番、3番と4番が揃うと次に、2番と3番を揃えます。
スロットルを全閉にし、アイドリング調整ねじを締め込み、スロットルがほんの少しだけ開いているようにします、その時4ヶ所とも同じ開度になっているか確認して下さい。
フーロートドレインを開け、燃料ホースから息を吹き込みます、ドレインから息が出ているか確認して下さい、息が出ていなければ、燃料パイプ、ニードルバルブ、ニードルバルブシート、などが詰まっていますので、再度分解し確認して下さい。
息が出ていれば、そのままキャブを逆さにしていきます、息を吹き込めなくなればOKですが、そのまま吹き込めるようで有れば、再度分解確認になります。
以上、問題がなければドレインを閉め、燃料を入れてみます、漏れがないか確認して下さい、漏れが有れば、分解し漏れている部分の確認をします。
漏れが無ければ、油面の確認をします、フロート室が水平になるようキャブレターを固定します、キャブレターに油面確認ツールを取り付け、透明ホースをつなぎます、ドレインを開けるとガソリンが油面まで上がって来ますのでフロート室とボディーのつなぎ目と同じくらいにあるか確認し、4ヶとも油面が同じか確認して下さい、写真の点線がフロート室とボディーのつなぎ目で、矢印が油面です、スズキから純正の油面確認用ツールが出ていますが、私は自分で作った物を使用しています、これを付けたままにし透明チューブを付けて置くと、キャブからガソリンを抜くのも簡単ですし、キャブを外さなくても油面の確認ができます。
パイロットスクリューを調整します、パイロットスクリューを最後まで締め込み、1 . 7/8回転戻します、スクリューを閉め込むとき、強く閉め込まないで下さい、スクリューがシート面を傷つけてしまいます。
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| 6 同調調整 | |
キャブをエンジンに取り付け、同調を出します。
キャブを取り付けトップキャップのメクラを外し、バキュームゲージを取り付けます、エンジンを始動し回転数を1200rpmに調整します、4気筒のバキュームが揃っているか確認、揃っていないときはまず1番と2番のバキュームをそろえます、次に3番と4番を揃えてから全体を揃えます。
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| 7 最後に | |
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毎日乗っているバイクのキャブを、全バラ整備する必要は殆どありません、長期間動かさず放置してあった物や、中古のキャブを買ってきたときぐらいではないでしょうか。
日常点検として、パイロットスクリューを外し、カーボンの除去をする、時々フロート室のガソリンを抜き取る、エヤ−クリーナーの掃除をするぐらいの事をしておけば50000qくらいは日常整備で大丈夫です。
ただし、これはノーマルの話で、ファンネルをつけていたり、パワーフィルターに交換して有れば、少し違ってきます、サクションバルブとキャブボディーの間に細かいゴミが入り、サクションバルブやボディーに傷が付いたりしますので、まめにトップキャップを開け、ダイヤフラム、サクションバルブを取り外し掃除して下さい。
パワーフィルターでも、雨天走行の後などはガソリンを抜くなどして下さい、特にファンネルの場合、駐車の際にはファンネルにゴム栓等で蓋をするなどし、雨が入らないよう対策が必要です。
走行中雨を吸い込む程度は問題ありませんが、停車中に水が入るのはダメージが出る場合がありますので、注意して下さい。
毎日乗るのであれば、少しくらい水が入っても問題ありません、キャブの中の水もガスと一緒にエンジンに入り、水蒸気になり出ていきますので、少しであれば大丈夫です。
たまにしか乗らないのであれば、キャブの中で錆を発生させ、ジェット類の詰まりの原因になりますので、ガソリンを抜いておいた方が賢明です。
写真は、以前オーバーホールを依頼された時、撮影したホンダのキャブです、保管状態が悪かったため、腐食でぼろぼろになっています、スロットルバルブも腐食で固着し、クレーターのようになってしまっています、水だけでなく、電位差等の影響もあるのですが、長期保管の際、ガソリンを抜いておけば、ここまで悪い状態にはなりません、見てもわかると思うのですが、ガソリンに浸かっている所だけが腐食しています、亜鉛合金は電食が起きやすいので、特に注意が必要です。
持ち主が、このまま作業を続けてくれとの事だった為、スロットルバルブを交換し、組み上げてみましたが、見ての通り、メインジェット取り付け位置が腐食で広がっています、その為、メインジェットに隙間ができそこからガスを吸い上げてしまい、どうにもならない状態でした。
もう35年ぐらい前のキャブでしたので部品もなく、代替えを探したのですが、良い状態のものが見つから無かった為、ロウ材で肉盛りし、穴を開け直し対処しました。
バイクを長持ちさせるには、毎日乗って基本整備をきっちりするのが一番いいようです、余り大がかりな整備ばかり繰り返すのは、良くないように思います。
分解するのにはそれなりのリスクがあります、工具も必要ですし、いきなり分解すると元に戻らなくなることが多く、いじりすぎて壊してしまうことになってしまいますので、落ち着いてゆっくり作業を進めて下さい。
分解した順番に部品を並べていく、分解しながらメモを取る、等し元の状態を、きっちり把握しておいて下さい、もしわかる人が身の回りにいるのなら、遠慮せず手伝ってもらいましょう、工具も持っているのなら、迷惑ついでに貸してもらいましょう、バイク好きはおせっかい焼きが多いので、イヤとは言わないと思います。
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